読書感想:ユヴァル・ノア・ハラリ「21Lessons」は難解だが、何回も咀嚼し、各々が議論する教科書にすればいい。

「正人」の日記

ようやくユヴァル・ノア・ハラリ「21Lessons」を読み終えた。
サピエンス全史に衝撃を受け、更にこの度のイスラエル・ハマスの戦争を受け、彼がイスラエル人であることで彼がそもそもどんな考え方を持っているのか深く関心をもったからこの本を手に取ったのだが、予想していたように難解であった。とはいえ、小難しい哲学書を読むよりは初心者向けに読みやすくしていてくれているようで、難しいと感じるのはこちらの頭のキャパの問題である。

何気なく不安に思っている事や、言われて見ると「その通り!」と言語化してくれ、思考の交通整理をしてくれる様は爽快で、この人の天才性を感じさせる。同時に常に何事においても公平であろうとし、文章を書くにおいて石橋を叩いて渡るような慎重さもうかがえる。

内容について書きたいが難解すぎるのと、深すぎるので全部を書ききることはできないが、本が章に分けて書いてあるので、ボクが気になった章の気になったワードをいくつか取り上げてコメント形式で感想を述べていきたい。

16章 正義について
私たちの正義の認識は時代遅れなのかもしれないと最初に述べている。
世界的な正義の定義が変動している。それに対し自己認識と共感の重要性が必要だと。だが、世界は「グローバルなコミュニティー」は形成していないし、彼ら(主要国)の解釈は、到底信用できない、と。それが故、世界はポスト・トゥルースの時代に入っているのだ、と。
そう、私たちは今、「ポスト・トゥルース」の時代にいるそうだ。

おいおい、聞いてへんで~。
そんなん。
大体の大枠の話は知ってるけど、その名前は知らん。



17章 ポスト・トゥルース
これも言語化、概念化されて初めて気づくことになるのだが、全てのことが嘘と作り事で社会、世界が成り立っている、或いは成り立ってきたことに気づかされる。そして、今後もっと巧妙になっていくだろう。それを各々承知して日常を過ごしていかなければならない。かつての嘘が今の真実になってしまったり、声の大きい人や、やり手の人が、なんでも上手く時代になってしまう。洗脳はだいぶ前から始まっていた手法だが、それがより巧妙化し広まっていく。洗脳解除法も学ぶ必要がある時代だ。
科学は科学で、意見がある時は主張するときはするべきだと。沈黙は中立ではなく、現状の維持を意味する、と。
これは科学に止まらない。全てにおいて言えることだ。

19章 教育
「変化だけが唯一不変」と章のタイトル脇に名言が添えてある。
この言葉にすべてが込められている。これからの時代の過ごし方だ。若者の話ではない。人生の全般においてだ。
これからは人間がアルゴリズムのためにハッキングされる時代になる。企業や国は個人の情報を得て、ビッグデータに放り込んでアルゴリズム化するために個人をハッキングしようとするだろう。
情報は資産になりうるのだ。
そして、変化し続ける社会、世界に常に対応していかないといけない。それは昔は若者の使命であったが、今は本来定年で老後を迎え安穏としていられるはずの年齢の人たちであっても変化と対応が求められるのだ。

20 意味
人生は物語ではない、と小説好きのボクに衝撃的な章であったが、同時にこの本を手に取って良かったと思えた言葉でもあった。
ただ、内容については、書くにはまだ頭の中がまとまり切らないので、一旦筆を置く。

21 瞑想
ひたすら観察せよ、と言うようにハラリ氏は究極の自己観察、自己認識を自己の感覚で行うことを勧めてくれている。
テクノロジーの関与しない自己の身体という大原則からの理解。そこから歴史は始るのではないか、と言っているのではないかと感じた。



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