読書感想:ピーター・ティール「ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか」を今になって読んでみて思うこと。

「正人」の日記

もう初版から10年物前の本になる。
ここ最近の日進月歩のビジネス業界での10年は過去の10年と比べて比較にならないほど進化が激しい10年となっているだろう。
その10年前に書かれたビジネス本を今になって読んでみた。
ピータ・ティール。
正直その名をボクは知ることはなかった。
ペイパルを取り巻く人たちが凄いという話を何とはなしに聞いたことはあったかもしれないが、あまり詳しくは知らなかった。イーロン・マスク以外は。
この本を読んで、マスクとペイパルの関係性のことも誤解していたのも解けた。

ティールが一過性の人気者ではないことは、この本から10年後の今まで彼の行動、彼の事業を評価してみても自明だ。
彼は本物だ。(何を今更。そして上から目線。w)

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ただ正直この本を読んだ感想は、頭のいい人が言う言葉(論理、道理)を聞いて、一般人がそのまま納得できるかどうかという話。
そりゃ~道理を説いているわけなので、最終的に納得はする。でも、それはできるひとがしたから、の話であって、次にボクがどうするか、ってなった時にこの本を読んで「確かに道理は理解した。」でも、ボクがそれを行動に移すときの距離感は全く異なるワケ。

世の天才さんは、その道理と行動の距離感が異なることの理由が分かっていらっしゃらない。
ま、別に指南書を書いてるわけじゃないので、いいのだろうけど。
ティールはそうした、という話なので。

とはいえ、教わることは多い。
仮に自分自身がスタートアップ企業を立ち上げなくとも、株式投資する際の目安となる考え方で貴重な視点を新時代に向けて与えてくれている。
例えば、ある時期にブームとなりスターアップとして乱立する企業の中でどの企業が生き残るのか、そのブーム自体が生き残るのかを見分ける基準としての考え方。
今の、ちょっと前のメタバース関連もそうだ。あれだけマスコミも持ち上げて今現在どれほど「盛り上がっている」といえるのだろうか。
そもそもメタバース自体は10数年前に一度流行らそうとして失敗して、今再び再起しているはず。当時と今とでは、ハードを含む環境が異なるというのが関係者の言い分だが、今現在の盛り上がりの無さは何に由来しているのだろうか。
関係者出てこい!
って話。

ティールが言う7つの質問で「独占」「人材」「隠れた真実」に関してメタバースは各社持っていたのか?
メタバースの技術革新は素晴らしい。だがそれに伴った人材の育成や営業(技術を背景にした)ができる人材を共に確保できていたのか。
その辺りを見ると、ボクの視点でも確かに熟しきれていないのかもしれないと思える。つまり、マスコミの勇み足。マスコミの利用しすぎ。過信。それらがあったかのように思える。ティールは小さな市場から始めろと言っている。その原則からはメタバースは既に素材が悪いのだ。10年前から存在しているので。


つらつら書いてきたが、今になって思う。
ティールはそもそもこの本を誰に向けて書いたのか…。
彼は決してベストセラーにして金が欲しかったわけではない。
一般人の理解を得たいわけでもないだろう。
トップの経営者、投資家に向けて、これからトップの経営者、投資家になるだろう人材に向けて書いたのだろう。
だから、読む側もその心づもりで読む方がいい。
そして、そんな人材こそが時代を切り開くんだという教訓。
今の日本じゃ到底無理。
無理と思うオジサンを蹴散らし出てくる若者がいてこそ、だ。



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