猫話:吾輩の家の猫ヤン。

「正人」の日記

吾輩の家に猫ヤンが一匹、いはる。
女子だ。
もう10年選手にはなろう。
人に個性があるように猫ヤンにも当然個性がある。

ウチの猫ヤンは程々の距離感がいいようだ。
抱っこは嫌い。
触れ合いも嫌い。
結構鳴く方だ。
家族の中でも餌をあげるボクには一番なついていると言えるかもしれない。
ボクの近く程々の距離にいつもいる。
そのボクにも「触れる」ことはさせない。

そんなネコもいるのだ。

ネコを知る人なら分かると思うが、猫を飼ったことがない人にこのことを話すと驚かれるし、ウチの猫が特別にオカシイのではと思われがちだ。
だけど、猫の性格の中にはそんな性格もアリがちなのだ。

【Furboドッグカメラ】

一頭飼いなので、時折猫ヤンに問いかける。
「友達が欲しいかい?」
「ニャ~」と答える。
何を聞いても「ニャ~」なので、yesかnoか分からない。
「ご飯くれ!」かもしれない。
ともかく、彼女はいつも一人きりでほぼ一日を寝て過ごす。

一匹で、人間とも絡まず、友達の猫もおらず、寝て過ごす。
それがウチの猫の人生だ。

そう言ってしまえば元も子もないが、でもそれが今後も続くであろう彼女の人生。そのさだめの何割かはボクが原因を作ってしまっている。

彼女がウチに来たキッカケは娘が中学受験の際に行き詰まり、やり場がなく親として何もできることがなかった際に、何もできることがないなら無いなりに全く別方向で気を紛らす機会として今までしたことがなかった「ペットを飼う」という手法をとりいれたのだった。
つまり、彼女が我が家に来たのは「どうしても猫が飼いたい」という動機の基に取られた行動ではなかったのだ。猫は飼いたかったが、理由の一番ではなかったのだ。

理由が上記のようであったにも拘らず、ウチに来た猫ヤンは娘には結果的に一番馴染まず、猫ヤンからすればボクが一番「マシ」だったのだろう。

彼女は女性で家猫で去勢をしている。
そんな彼女にとって我が家で暮らす猫人生の楽しみとは何だろう。
他猫とコミュニケーションを取らないから他の世界を知らないし、他の世界と比べようもないだろうが、もしあの世があったとしてあの世でこの世が実はどうであったかということを知ったらどう思うだろうか…。

彼女の人間と触れ合わない性格は、既に悟っていての行動なのだろうか。
(諦めきっていて…)

時々窓から外の世界を眺めている。
どんな気持ちで眺めているのだろうか。

彼女は基本とても臆病だ。
ドアが開いていても決して出ては行かないだろう。それであっても外の世界と家の中の世界の違いは明らかだろうから、何らかの思いは抱いているはず。
ドアが急に開くと相当ビックリする。それほど臆病なのに外に出たいと思っているだろうか?

雷でも怯えて部屋の隅で震えている彼女を見るととても可哀想だが、そんな状況でも抱かれるのを拒む。もし地震で家が壊れてしまったらどうなるのだろうか。

彼女はブリーダーさんのところからウチに来た。ブリーダーさん宅にいた子猫の時から臆病だった。元来の臆病なたちなのだ。

こうやって猫(ペット)を飼ってこそ分かるのだが、ペットを飼うとはやはり人間側の我儘な行動の上に成り立った行動なのだということを自覚してペットに責任を持たないといけないと強く感じた。
子どもの頃も自宅に犬、猫、小鳥など様々なペットがいたが、そこまでの自覚が結果的に育ってなかった。
ペットの繁殖、販売問題が多く報道される中、飼う側の責任問題も強く問わなければならないと思うようにようやく至る昨今であるのだ。



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