映画自評:「ロボット・ドリームズ」感想:動物の国で孤独な犬とロボットの友情に心を揺さぶられ…た?

「正人」の日記

「ロボット・ドリームズ」を観る理由:噂と期待のギャップ

良い映画との噂を聞き、かつ上映期間が長いので、これは一度見ておこうというイマイチ鑑賞動機が定まらないまま観たこの映画だが、往々にして自分自身の「観たい」という気持ちが高ぶらないまま観た映画というのは、いくら世間の評価が高かったからと言って「評価」もそのまま自分も同調する訳に行かない。
勿論、噂を信じて観て正解だったものも数多いし、部分的にすごく良かったが全体的には「どうだったかな~」的なモヤモヤした感情を抱いて終わった映画も多い。
「ロボットドリームズ」は、ボクは部分的にはとても良かったが、全体的には「雑音」が多く、映画世界に入り込めず、ただラストだけはとても素晴らしく終えることができて良かった映画だという感想だ。

「設定映画」としての「ロボット・ドリームズ」とは?

ボクはこの「ロボット・ドリームズ」のような映画を「設定映画」と勝手に呼んでいる。つまり、ある条件を設定しその条件に関してはそれを前提にして観てみようというものだ。
映画を観ていて、その部分に何かオカシイと感じてもそれについて「ツッコまない」という暗黙の約束の下その映画を楽しもうということだ。
まず大きなところから言えば、
何で動物の国なの…
生計は何で立てているの…
お金はどこから出てくるの…
家族は…
ロボットを作った人は誰…

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宅配でロボットが運ばれ、自分で組み立てる。

…といった疑問を素直に受け入れるところから始まる。
一々疑問に感じ、ツッコミを入れていたら話が進まない。

以下ネタバレを含む。


動物の世界の矛盾点:疑問を受け入れるべきか?

条件を素直に受け入れて観るところから始まる。
…と自分で書いたがやはりどうしても受け入れられない疑問が頭の中に残りどうも集中できなかった。
頭が固すぎるのね。

でも、動物の世界なのに魚釣りをして楽しんだり。海では同じレベルで魚と戯れたりするのに、魚釣りのレベルでは狩猟のレベルだったりするのが納得いかなかったりする。
同じように彼らの世界では一生懸命に働く人々がいるのに犬君は一切働かず勉強もせず、ネット購入や裕福な暮らしをしている不思議が頭から離れない。
これは世の不公平を表しているの?
だったら彼の孤独に対し見方も変わってくる。
人口の数パーセントしかいないお金持ち人生の悩みのための映画に共感を得ましょう?ってボクは無理。

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孤独な独り暮らし。でも暮らしに不自由はしてない様子。

犬君の生活と社会的テーマ:孤独と不公平感

犬君の暮らしは孤独で可哀想で今の世相を表しているのかもしれない。
ボクと一緒という人が一杯居そうだ。
しかし、彼はスポーツ万能で、自分からある程度積極的に一人でも表に出るタイプだ。
スキー場でイジメられたりするが、橇にすぐ馴染んだし、そもそも友達探しに一人でも出かける積極性を持ち合わせている。

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結構スポーツ万能。器用。

「設定映画」における議論のジレンマ

ってか、こんなところで真面目に議論してはいけないのよね。
ボクが言う「設定映画」では。

大体海の管理人があんなデカいロボット海辺に放置しているか…。
イヤイヤ、「設定」に関して言わない言わない。

キレイな別離を描く映画:感動のラストシーン

この映画は、監督が考える「キレイな別離のための映画」だからそのための設定を作り上げていかないといけないと考えている。
歌であれ、二人の思い出であれ、ロボットが持つはずがない思い出や想像力であれ、新しい出会いであれ、新しいボディであれ、次に向かっていく新しい人生であれ、そのためのキレイな別離の仕方の映画。
…とボクには思えた。
エンディングありきの映画。
悪い意味ではない。とても良かった。

「ロボット・ドリームズ」が問いかけるもの

監督は、犬君にはずっとロボットしか友達を与えなかったが、それはそれで如何なんだろう。あれほど積極性を持ち合わせ悪いところが見当たらない犬君なのに購買したロボットしか友達ができないなんてある意味救いがないと思えまいか。
DUCKちゃんとの出会いは、一般的な出会いで別れ方がむしろ絶望的じゃないだろうか。ロボットは裏切らないとでも言うのか。
人(この場合動物で胡麻化されているが)は不完全性があり、出会いや別れがあって、喧嘩仲直りを繰り返し悩みながら成長をしていくもの。その中で社会性を育み、次の世代を不完全ながら育てるという役割を担う。
犬君のいいところ、ロボットのいいところだけを取り出して、いい関係を作り上げていく美談という話ならこの映画は全く人間社会を理解していない「絵空事」としか言えない。そういう意味でこの映画は考えさせられた映画となった。

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