「NHKアナザーストーリーズ 運命の分岐点」も好きな番組の一つだ。
アナザーストーリーズはある事件を異なる視点から見直すことで事件の全体像を知ろうとするNHKのドキュメンタリー番組だ。
多くの事件は、被害者や加害者など日の当たった者からの視点がクローズアップされ、その視点中心に報道されるが、実際の事件の背景を知ろうとすると多角的な見方が必要とされる。その意味でこの番組の取り組み意欲は評価できるが、一方で時間的制限の中で表現しきれない問題も多くあり、消化不良に至るケースも少なくない。
ともあれ、問題提起をするという点でのこの番組の存在意義は大きいし、番組は興味深い。
さて、今回興味がありつつも録画していて中々落ち着いてみられなかった回をようやく見ることが出来たので感想を書いてみたい。
金閣炎上についてだ。
この回を見て小説家の視点として紹介されていた水上勉氏の「金閣炎上」を手に入れようとして、「ポチ間違い」をして三島由紀夫の「金閣寺」を購入してしまっていた。
これで家に三島由紀夫の「金閣寺」が三冊在庫があることになる。
なんで?
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そもそもボクは三島由紀夫の大ファンで大学時代からよく読んでいた。決して変な方に傾きはせず純粋に小説家として大ファンなのだ。
だからこそ小説として「金閣寺」を何度となく読んでいたし、なぜ火を放ったのかについて疑問を感じてはいた。
三島の金閣寺は「小説」である。
あの事件に触発され、多くの事実を基に書かれてはいるが結局は小説なのだ。三島の「金閣寺」から林養賢の動機を読み取ろうとしても三島が入っているので、もはや純然たる動機になりえない。仮に林養賢が三島の「金閣寺」を読んでその通りだと言ったとしてもそれは後付けであったり、美化でしかないだろう。
一方、水上はルポタージュの姿勢でこの事件に向き合っている。本は未読だが、番組ではそのような説明であった。しかし
水上も相当な注力を注ぎながらも全く持って客観的な視野で本を書ききることはできなかったようだ。自身の育ちと林養賢の育ちが重なる部分が多かっただろうから。
ただ、想像するに感性において、
林養賢と三島由紀夫は近いかもしれないが、
林養賢と水上勉は理解し得ないものがあったかもしれない。
これについては、今後のボクの読書課題となっていくだろう。
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