単行本が話題になっていたのは知っていた。
ただ話題になっているからと言ってボクの趣味範囲にあたるかどうかは別問題なので買うかどうかは逡巡していて結局単行本は買わずに文庫本になるのを待っていた。
文庫本になるまでに映画化されたのも後に知ることになったが、気が付けば観る機会を検討する間もなく終わってしまっていた。そんなこんなでようやく文庫本が出たところでようやく手に取ったわけである。
読後の感動の余韻に浸る中、頭によぎったのは単行本で買って読んでおけばよかった。もう一つ言えば、映画も観ておけばよかった、と。
この本の感想を書くには本自体が複雑な仕組みを持っているので、早々語れない。まずは、読後感想第一弾として大枠を語りたい。
ネタバレあり。
まず出版社に言いたい。
この本を手に取るであろう未知の読者へのこの本の面白さを伝える努力を惜しむべきではない。
業界の方は業界の常識に則って努力していると言うのであろうが、伝わらなければ意味がないのでは。
実際セールしてヒットしたというだろうかもしれないが、それは業界基準だろう。無関心層には微動だにヒットしていない。
我が職場、我が知人での認知度は0だ。
と、逆ギレクレームから言いたいことを言わせて頂いた。
近年、読書離れが叫ばれ、出版業界の不振が数字でも証明されているが、果たして業界の方々の努力は尽すべくして尽くされたのであろうか。
してきたのであろう。
でも、方向性が正しかったのだろうか。
ヒットする映画の多くは原作が小説だったりすることが多い。原作が小説にあるということは、単純にやはりソフトである小説そのものは面白いものが多いからであろう。
ならばなぜ読書離れ、小説販売低下が生まれるのだろうか。
この度の件でもそうだが、タイトルと内容が結びつきが付かないものは購入のキッカケが付きにくい。また、普段購入のきっかけとなるはずの内容説明もこの度の「ザリガニの鳴くところ」の説明文ではどの書評を読んでも曖昧で購入の手掛かりとなるものが無かった。
出版社はそれを強力に後押しする手立てを作るべきだ。
過去の例とは異なる手段を新たに考えても、だ。
何万部突破。
全米で売れた。
何々賞を取った。
ある殺人容疑がかかる。
作者がどうたらこうたら。
感動と驚愕のベストセラー。
これらは定型文でコピペだ。
これを読んで本を買えと言う方が無理があると思うが如何?
もう少しでこの名作を読み逃すところだったので、恨み半分(w)で綴ったが素晴らしい本は常に出版されている。
どうか出版業界の方々には頑張って頂きたい。
読後感想Ⅱでは、「ザリガニの鳴くところ」の内容について自分なりの感想を語ってみたい。
枠に止まらない小説の懐の深さに感動すると共に、作者の今後の作品に期待がかかる。
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