映画自評:映画「マミー」は単純に「冤罪ドキュメンタリーモノ」というジャンル分けでいいのだろうか。

「正人」の日記

正直な感想として批判を恐れずに書こうと思う。

「司法」という観点から言えば、「あの件については冤罪かもしれない」が、だからと言って映画全編を観てあの夫婦の犯罪の歴史を知った挙句、全くの「白」とは思えない。「お金にならないからやらない」が理由になるとは思えないからだ。

カメラの前でシャーシャーと犯罪の過去を述べる下りは呆れてものが言えない。誰がそんな人物の言うことを信じるのだろうか。
そして、監督までもが不当な方法で撮影をしようとする…。
?(疑問)


「正義の行方」を観て冤罪ドキュメンタリーに関心を持ちつつも、あのカレ-報道の洗礼を浴びてしまっている世代としては、あのカレー事件が冤罪であると言われても中々積極的に自ら情報を取りに行こうとは思えないものがある。

ドキュメンタリー映画になり、徐々に話題になって来て「正義の行方」を観た自分としては、冤罪モノと聞いてやはり無関心を装うわけにいかなくなってきたのだ。

正直、当初上映公開されると聞いても観る気はしなかった。
その気持ちは自分でもわからない。

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あの事件は、事件当初でもマスコミが相当嗅ぎまわったようにスキャンダラスな匂いがし、人々の歓心を煽った事案が多く、その後も事件があったり、他の事実が判明したりと、要するに「一般家庭」とはかけ離れた要素が我々の興味を引き、それに加え事件の犯人が分からないという事実が「お昼のワイドショー」的なトピックにピッタシの事件だった。
だから当時も引き気味に見るようになっていたし、今回も「またか」的な反応が先に出てしまっていた。

しかし、今回は「冤罪であった」というのと「ドキュメンタリー」であるのと、今まで未成年で姿を見せることができなかった「長男」が証人として積極的に出ているようなので様子が違う。

観た人の評判が上がってくると「問題作」との評価があり、観る気になったのだが…。

観ると確かに冤罪とされる目撃証言では「怪しい」ものであり、再検証されるべきものであるかもしれない。だからと言って即座に「白」です、ともいえない。それは、彼らの過去の行為にある。もちろん、それをもって証拠にはできないのは当然なのだが、「怪しい」こと極まりない。
ここが本来映画として問題視すべきポイントなのだろうけれど…。

夫が過去の犯罪歴をチョット自慢げに語ってみせるシーンがあり、その中で暗に奥さんからヒ素を飲むプレッシャーを受けている(自分から飲んでいるが)と語るところがあるがそこから彼女の人物像はこの映画では浮彫にはできていない。冤罪を訴えたいが故に公平な情報を与えつつ、不利な情報を与えたくないのだろうが、あまりに不利な情報が多いためそこでの深堀はしないのだろうか。
また、最後の最後であろうことか監督までもが取材に行き詰ってのことであろうが、取材対象者の車(?)にGPSを仕掛け、結果的に不起訴となり示談となる事案も発生するという…。映画内で告白するだけましだが、それ以外でも隠し撮り的なことをしているし、どうも冤罪告発側の挙動が不審でならない。

怪しいことは、「犯罪」か?
いや、決してそうではない。
しかし、
人に信頼を得るためには
人に何らかの支持を得るためには
そもそも自身が他者に対して公平な人物でなけばならないのでは、とボクは思うのである。

冤罪告発を支持しているグループの方々がいたが、恐らく過去の夫の詐欺罪の話を知った上でのことだとは思うが、この映画を観て、この映画で彼が語る語り口を観てこの先も彼らは果たして信じ続けるのだろうか。
冤罪告発支援する人たちが増えるのだろうか。
メディアの力はどちらにも左右するから何とも言えないが、少なくともボクはこの映画によりマイナスに影響を受けた一人だ。



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